- 相続登記
住所変更登記を忘れていませんか?
相続登記は不動産の名義を亡くなった方から相続人に移す手続きですが、この登記申請を、ほかの申請と併せて行う場合があります。
相続人の住所変更登記がそのひとつです。以下のような事例を紹介しましょう。
事例:共有名義のうち一人が死亡 → 相続登記をしたい
たとえば、X(父)とA(子)が2分の1ずつ共有している不動産があったとします。Xが亡くなり、その持分をAが相続するというケースです。
このとき、A(子)は不動産の全部の持分を取得し、単独所有者となるはずなのですが、登記簿に記載されている住所と相続登記時に提供する住所が異なる場合には、登記上同一人物とはみなされません。
登記官は、名義人の住所・氏名で人物を特定しているため、住所が異なれば別の人物と判断します。登記簿には、A(新住所)とA’(旧住所)の共有として表示されるのです。

このような相続登記自体は問題なく行われますが、その後この不動産を売買する時に手続き上の問題が生じます。つまり、A′の名義を新住所に変更する登記(住所変更登記)を行ってからでないと、所有権移転の手続きができません。 後からでも住所変更登記は可能ですが、相続の際に併せて処理しておくのがベストです。
必要な手続きと書類
【共有者(相続人)の住所変更登記に必要なもの】
・ 住民票(現在の住所を証明するもの)
・登記申請書
・認印
この住所変更登記を持分移転登記の前提として申請すれば、持分移転登記の際の肩書きも“所有者”となり、実態と登記記録が一致することになります。
よくあるご相談
「私の名義は変えなくてもいいですよね?」 → 現在のご住所と登記上の住所が違う場合には、変更しておいたほうがいいでしょう。
「過去に引っ越しを何度かしていて、登記簿と異なるか不明です」 → 当事務所では、登記簿謄本の取得からご住所の確認・整理まで一括で対応可能です。
まとめ:相続登記をスムーズに進めるための“隠れたステップ”
相続登記は時間をかければ自分で手続きを行うことも可能です。
ただし、今回の事例のように住所変更がある場合など、隠れたステップを見逃してしまうと、いざ売買という際に手間がかかってしまうこともあります。 事前に全体の登記情報を確認し、必要な変更をまとめて行うことで、その後の手続きが円滑に進みます。
当事務所では、相続登記後もお客様が使いやすいように手続きを進めることを心がけています。「他にも共有者がいてよくわからない」「自分の名義情報が古いかも…」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。